小売業、不動産業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、学習支援業、介護事業などの業種では、「集客範囲」を設定し、その範囲の情報を収集・分析し、販売戦略を立てる商圏分析が重要です。商圏は単純な距離だけで なく、交通にかかる時間を踏まえて設定されます。

■ 商圏分析における4つのポイント

世帯数や所得など、潜在顧客の具体的な情報を知ることが、商圏分析の第一歩です。

① 対象地域のマクロ環境分析

人口とその人口の構成比率を分析します。つまり、これから人口が増え市場規模が拡大していくか、反対に過疎化するかを把握します。

② 住人のライフスタイル調査・分析

移動手段、週末の過ごし方、買い物は大型のショッピングセンターで済ませるのか、食品のみを扱うスーパーも頻繁に利用されているのかなどを分析します。

③ 競合企業の調査・分析

消費者がお店を選ぶ際の判断基準となります。対抗していくためには、差異化やオンリーワンが必要です。

④商圏バリアの調査・分析

顧客が店舗を利用する際、障害となりうるもの、例えば、大きな山や川、線路などです。

■ 統計GIS(e-Stat)による商圏分析・表示例

ここでは、無料の商圏分析ツールである総務省統計局のe-Statを紹介します。

「政府統計の総合窓口(e-Stat)」は、各府省が公表する統計データを一つにまとめ、統計データの検索をはじめとした、さまざまな機能を備えた政府統計のポータルサイトです。

図のように、地図からエリアを選択し、円であれば、半径を選択でき、人口動態の統計データをグラフ化するツールです。

Googleマップ上で、円を始め、多角形やバッファ(道路周辺、河川周辺)など、指定したエリアの5歳ごとの年齢別人口、世帯数増減状況などが計算され、レポートや統計グラフ表示してくれます。

参考までに、当事業所がある八王子市みなみ野地域を現在地に指定して「リッチレポート」作成してみました。

20年前に誕生した八王子みなみ野シティの人口構成は、東京都や八王子市の平均と大きく異なり、高齢者が少なく、40歳代と子供・若者が多いニュータウンであることがわかります。地域の南側では今だに造成が続いており、世帯数も増えていることがみてとれます。なんとなく学習塾が目につき、飲食店は学生向けのファーストフード店が多いこと感じていました。

医療・福祉施設や学習塾などが多いことが数字データで裏付けられています。

小売業など地域密着事業者における市場調査や販売戦略策定では、顧客はだれで、どこにいるか、求めているものを知って売れる商品は開発することがポイントです。マーケティングの成功は、商圏分析による市場調査がカギを握っているといっても過言でないと思います。